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2008.01.13 (Sun)

君の瞳にうつるもの Scene3 

                                       『天元突破グレンラガン』

【More・・・】

 
 さくっとスプーンを差し入れる音。ぱりぱりになったカラメルソースは、あともう少し。
「そ、将来。ちゃんと考えておいた方がいいわよ? 政府の仕事をしてもいいし、他のまったく関係ない仕事をしてもいいし」
「そうだなあ」
 キヤルはプリンのてっぺんをすくいます。池のようになった穴へ、カラメルがとろりと落ちました。
「考えてないなあ、特に」
 お待たせしました、とウェイトレスさんが私の前にケーキを置きました。苺が乗ったショートケーキ。私が指さしたのは、このケーキだったのですね。
「政府って言ったって、どこに入るか決めなきゃいけないだろ? それにどこ入ってもロシウのヤツに小言言われそうだなあ」
「それは言えてるかも」
 フォークで苺をつつくと、ふるっと苺は傾きました。本当は苺のショートケーキ、そんなに好きじゃないんです。だってショートケーキの苺って、少し寂しい気がするんですもの。
「いっそのことさ、レイテんちに雇ってもらうってのは? ガンメンいじるの結構好きだし」
「いいんじゃない?」
 ケーキの外に追い出されて、ひとつだけ最初の形をして。スポンジの中に他のフルーツと一緒に挟まれた苺と、いったい何が違うというのでしょう。
「あの二人に弟子入りして、びしびし鍛えてもらいなさいよ」
「うーん、それもキビシイ」
 ひとしきり笑って、キヤルは「ニアは?」と続けました。
「ニアは? どうしたいの?」
「私? 私はシモンのお仕事を手伝いたいわ」
 ケーキの上から苺をお皿に降ろしながら言うと、二人はそろって吹き出しました。キヤルがぽん、と私の肩を叩きます。
「そう来たか。よしよし」
「聞くだけ野暮だったかもね」
 どうしてそんなに笑うのか、私にはわかりません。
 でも。
 それが私の将来なら、キヨウさんの言うとおりだと思います。今していることは、きっと役に立ちます。
「だってシモンはいつも忙しそうなんですもの。話を聞いているだけで、とても良くわかるわ」
 二人でいる時、シモンはあまり仕事の話をしたがりません。でも私は、知っていたいと思います。シモンが何をして、何のために働いているのか。でもそれと同じくらい、シモンを問いつめて困らせるようなことをしたくないの。
「今のままでは、私は何も知らないんです。きっと頼めば教えてもらえると思うけれど」
 このままなら、きっと苺と同じなの。いつかスポンジの中に一緒に入れることを夢見たまま。
「教えてもらえばいいじゃん? シモンだって兄ちゃんだって、嫌がりゃしないと思うよ。むしろロシウだったら、喜んで教えてくれるよ。渋々って顔しながらさ」
「違うのよ、キヤル」
 紅茶のカップを指で包むと、その温度が伝わってきました。
「それは違うの」
「違うって?」
 どう言えばいいのか、私は迷います。私は苺をつまみました。ひとりぼっちの苺に話しかけます。
「……私、自分で知りたいと思うの。政府が何をやっているのか、シモンが何をやろうとしているのか。きっといいことばかりじゃないと思う。だって……だからシモンは忙しいんですもの」
 結局、シモンと一緒にいたいだけなのかもしれません。一緒にいられない理由を知りたいだけなのかもしれません。
「だから私ね、私……宿題をするの、好きよ」
 なんだよそれ!とキヤルが笑います。
「答えになってないよっ!」
「いいのよ。それで、いいの」だって、私にもわからないですもの。「もう、知らない!」
「でも、さ」
 キヤルの肩が、やっと落ち着きました。そんなに笑わなくてもいいと思うんですけど。
「ニアらしいって言えば、らしいよなあ」
「そうねえ」
 くすっとキヨウさんも笑っています。
「あんたより、よっぽどはっきりしているわね」
「オレだって今度、考えとくよ。びっくりするなよ、お姉ちゃん?」
 はいはい、となだめるように笑いながらキヨウさんは紅茶を飲みます。キヤルがざくざくとウェハースをかじるから、私もぱくんと苺を口の中に放り込みました。
 すっぱくて、少し甘い。
 ひとりぼっちがいやなら、こうして食べてしまいましょう。ケーキを丸ごと頂いてしまえば、もうみんな、一緒なんです。生クリームで飾られたケーキは、やっぱりとてもおいしいの。




テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

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