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2007.09.16 (Sun)

あの空の向こう側  Chapter2 

                                       『天元突破グレンラガン』

【More・・・】


「……ロシウ、寝ちゃったね」
「ちょっとマジ? さっきから重いと思ったら……」
 声を潜めて、ダリーは笑う。議事堂を出て、車は住宅街へとひた走る。その3人並んだバックシートの真ん中で、ロシウが目を閉じて静かに寝息をたてていた。
 ダリーに向けたロシウの右耳にはイヤホンがはまっていて、そこからよどみない声がかすかに聞こえている。ダリーは手を伸ばしてロシウの膝の上、キノンがしゃべり続けている端末を切った。
 今日の集まりにロシウが出ている間、必要最低限度の要件をまとめたフィルムが強制終了される。あれから補佐官室に戻ったロシウが持ち出してきた『仕事』だ。
「本当に、仕事の虫よね……」
「変わんねーんだよな、そーゆーとこ。今日ぐらい休めばいいのにさ……ってか、以外と重い……」
「我慢しなよ。ロシウが起きちゃう」
 こそこそと笑い合って、ダリーはうつむき加減のロシウの顔を覗き込む。こんな近くで寝顔を見るなんて何年ぶりだろう。
「やっぱりここ」しかめられた眉根をそっと指さす。「しわしわ」
「苦労してんじゃねえ? シモンさんとかシモンさんとか」
 かもね、と笑ってダリーはそのままロシウの頬を見る。暗い車の中、それでもわかるぐらいには残っている……赤い傷痕を。
「まだ怪我、治らないね」
「そりゃそうだろ。そう簡単に治ってもらっても困るっつーの。ホント、……シモンさんが殴ってなきゃ俺が殴ってたよ」
「……あたしだって、殴る」
 ダリーはシートに座り直した。目をやった窓の外には、規則正しい灯りが並んで流れ去っていく。それは仮設住宅の灯りだ。街を焼き払われた市民のために、まずロシウが整備したものの一つ。広く取っておいた議事堂前の広場は今、急ごしらえながらも数階建ての住宅が建ち並ぶ『街』に変わっている。
 その中を走る車がたてる規則正しい揺れと、大きな足音。それだけを聞いていると、思いがあの時に引き戻されそうになる。ロシウが姿を消した、と聞かされたあの瞬間に。あのぐらりと剥がれた世界、体中の血がいっぺんになくなって、息が出来なくなった…。
「それにしてもさ、今日のシモンさん」
 くくっとギミーが笑う。ダリーは見返しながら、思いを振り払った。そっと指を伸ばしてロシウの制服の端を握りこむ。
「抱きつき癖、炸裂してたね。ちょっと呑みすぎよ、あれ」
「だよなー。俺、シモンさんのあれだけ、ダメ。この頃なかったから安心してたのに」
「ああ、それは今日」
 あの人がいないから。
 言いかけて、ふとダリーは口をつぐんだ。ギミーも、はっと気付いたように「んん」と中途半端なうなり声をあげる。
 彼女は今、とダリーは夜空を見上げた。そこには月とカテドラル・テラ、二つが白く浮かんでいる。


あの空の向こう側 Chapter3 へ続く

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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