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2008.01.22 (Tue)

行く手は唯一 

                                       『天元突破グレンラガン』

【More・・・】

 

 俺は進む。俺は歩む。俺は行く。
 いったいどこへ? 決まってる。行く手は唯一。
 踏みしめていくその先、ゆうらりと壁から離れて立ちふさがる影、ひとつ。
「よお」
 片手をあげた。人懐こい笑みを期待していたわけではない。
 ロシウはただ、黙って腕を組んで見返している、俺のことを。
「どこへ行く、つもりですか?」
 意外性のないことを訊きやがる。訊いたって答えが変わる訳じゃあねえのにさ。
「決まってんだろ。ハンガーに行くんだよ」
 ロシウは黙っている。腕を組んで、眉根を寄せて、黙って見下ろしてくる。
 いつのまにか、こんなにでかくなりやがって。
「なんだよ。どうしたって言うんだ?」
「……他に、方法がある筈です」
「ねえよ」
 あきらめの悪い奴だ。間髪入れずに応えてやると、その眉がぴくりとした。
「わかってんだろうよ、おまえだって。他に方法なんて、ねえんだよ」
「そんな筈、ありません。まだ僕らは考えを尽くした訳じゃない」
 通路は狭い。そうして目の前に立たれていると、押しのけて進む他はない。
「他の方法なんて、ねえんだよ。だから」
 どけ、と組んだ腕に掛けた腕がかわされる。
 次の瞬間、ロシウは襟首をつかみ挙げてくる。そのまま背を壁に押しつけられた。
 だん、という強い音。しかめた顔に、ひるみもしねえ。
「……ロシウ、離せ」
「離しません……冗談じゃない。あなた達はどうしてそう、……死にたがるんだ!」
「死にたい訳じゃ、ねえよ」
「だったらどうしてもっと、考えようとしない! 必ず、なにかある筈なんです。なんで、もっと! もっと…もっと、皆が助かる方法が!」
「そんなのはねえんだ。わかっているはずだろう? さんざん考えた。おまえも、俺も、シモンも」
「まだだ。まだ考え尽くされてはいない。もっと」
「ロシウ……わかってる。おまえだってわかってるはずだ。何も方法はない。俺達がやるしかないんだ。……すまねえな」
「謝るな!」
 こんなに近くで、顔が歪んでいるのを見るのはあの日以来だ。
 そういえば。あれから初めてだな。こいつとこんなに、くっつきそうな近くで顔を合わせるのも。
 そして、たぶん……最後だ。
「謝らないで下さい……僕は皆さんに、あなたに」
「だから……すまねえ」
「謝らないでくださいと、言っている……謝られたら、何も言えなくなるでしょう……」
 ゆるんだ指が、手がそのまま降りていった。
 ぎゅっとつむられた目、力なく消え入りそうな声が震えて落ちた。
 ああ、しょうがねえなあ、まったく。こいつまだガキだわ、やっぱし。
「泣くんじゃねえぞ、男だろ」
 抱き寄せた背中を、軽く叩いてやる。小さかったあいつらにしてやったのと同じように。
 子供をあやすにはこれが一番だ。
「関係ないでしょう、そんなの」ロシウは自分から身を剥がす。「男だとか、女だとか」
 最後まで可愛くねえ奴だ。でも、ソレでいい。それが、こいつだ。
「だったら泣くんじゃねえぞ、ロシウだろ」
「……はい」
 そう言いながら、泣きそうな顔をしてやがる。まったく、どうしようもねえ。
 手を伸ばした。頭を撫でてやる。
 立派な指導者様にしてやることじゃねえよなあ、どう考えても。
 ……まあ、いいけどさ。
「じゃあな」
 言いざま、軽く頭を押し下げてやる。俺を見下ろすなんて10年早えんだよ。
 顔が上がる前に踵を返した。
 軽く背後へ手を振って、そのまま俺は進む、その先へ。
「後のことは頼んだぜ」


 やるべきことが、キタン様を待っていやがるのさ。



                                           終

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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