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2008.03.09 (Sun)

さようなら、と僕らは言った  Chapter4-2 

  
                               『天元突破グレンラガン』


現在 「さようなら、と僕らは言った」 は連載中、最新エントリーは下記Chapter 4-1です。
恐れ入りますが、初見の方は prologue からお読み下さると宜しいかと。
そして下記前章をお読みの方は、どうぞ、そのまま【More・・・】へと、お進み下さい。
カーソルを合わせると、各1行目が表示されます。

Chapter 1   Chapter 2   Chapter 3   Chapter 4
  

【More・・・】



「……行くのかよ? その、」
「行きますよ」
 どこへ、というのはこの場合は愚問だと、キタンもわかっている。だからすぐに返したロシウの言葉に、ますます口の端を不満そうに歪めた。
「簡単に言うなあ、おまえは。何があるかわかりもしねえっていうのに。……ヨーコの奴も何考えてんだよ。銃なんてよ」
「でも、ヨーコさんは」
「わかってるって。でもよ」
 途切れた声に振り向くと、テントからライフルを背負ったヨーコが出るところだった。ふん、と彼女は鼻を鳴らして、その後ろに続くキノンを慌てさせる。
「また、何かごちゃごちゃ言ってるんでしょう、キタン。聞かないわよー、ロシウが決めたことなんだから」
「……うるせえな。まだ何も言ってねえだろ」
「まだってことは言うつもりなんだ」
 ぐ、とキタンが顔をしかめるのに、ヨーコは「まあ、いいけど」とため息をつくように言った。
「構ってる暇、ないんじゃない? 日が暮れきる前に急ぐわよ」
「わかってるよ。行ってろ、すぐ追いつく」
 多少は不満たらしく答えたキタンを一瞬すがめ見て、ヨーコは髪をひるがえす。その寸前にちらりとだけ、ロシウを見た。けれど見ただけ、そのままガンメン溜まりに向かって歩いていく。
 はあ、とキタンがため息をつくのと、キノンが「もう」と言うのが同時だった。
「お兄ちゃん。喧嘩はやめてよ。勝ち目なんてないんだから」
「喧嘩なんてしてねえ」キタンは顔をしかめた。「第一、勝ち目とか、そういう問題じゃねえだろう」
「そういう問題だよ。だって言い負かされるじゃない」
 確かに。
 ロシウが少し吹き出した途端、「おまえが笑うんじゃねえよ」とぺちんと頭をはたかれた。思わず軽く首をすくめるようにすると「うりゃ」とかなんとか妙な気合いだかなんだかな声を挙げて、キタンは本格的にロシウの頭をぐりぐりする。
「痛いですって、キタンさん!」
「逃げんな、こんのバカ助、チビ助。大人しくしてれば痛い思いはしないですむってえのによ」
 怪我!とキタンは手をぱっと離した。「怪我、してんだろ?」
 包帯を巻かれた右肩は少し膨らみをもって隠しようがない。ロシウはその上からぽん、と軽く自分で叩いてみせる。双子にそうして見せた時と同じように、ささくれ立つような痛みが走り抜けた。
 してますよ、とロシウは笑った。
「でも、そんなに心配されるような傷ではないです。シモンさんより軽いくらいですよ。僕はここだけですから」
「ここだけって、おまえ」
 キタンの口元がいよいよ歪んだ。また何か言いたいように息を吸いこんで、けれど     結局そのまま吐き出した。言葉の代わりのようにロシウの額を瞬時、指で弾く。痛ッとロシウは額をかばった。
「もう! なんなんですか、さっきから皆さん。ひとの頭を」
「うるせえよ、黙れデコ助。おまえのデコが悪い」
「そんな、失礼です。僕のおでこは」
「失礼とか言うなデコ」
「はいはい」キノンが割って入る。「ロシウに勝っても仕方ないでしょ」
「だから勝ち負けじゃねえって言ってんだろ」
「うんうん、あ、お姉ちゃんが戻ってきた」
 キノン聞け!と少し情けなさそうに呼ぶ兄を放って、キノンはテントに駆け戻った。「キヤル!」と呼ぶ声がする。そうしてる間にもジープはゆっくりテントに横付けされ、最後の振動も収まらない内に扉が開いた。すぐにキヨウが降り立つ。
「お待たせ」
 キヨウは言いながら、野宿が何泊もできそうな大きさのディパックを後部座席から引っ張り出す。リーロンに言われて、さっきまでロシウが眠っていた医療テントに戻っていたのだ。
「とりあえず何回か分の創傷キットを詰めてきたわ。今はずいぶんと簡単になってるのね、びっくりしちゃった。傷に直接貼ってお終いなんだって。でも消毒するのだけは忘れちゃだめよ」
「おう、わかってるよ」
「リーロンは? 中?」
 キタンの頷きを受けて、キヨウは一度背負ったディパックを下ろした。重いよ、とかけた声のとおり、受け取ったキタンの肩に肩紐が食い込むのが見えた。
 改めてキタンはディパックを揺すり上げると、テントに入るキヨウを追いかけるように振り返った。
「キヤル! 行くぞ!」
「はーい!」
 少し慌てたように開けっ放しのテントの扉が揺れてキヤルが出てきた。「はいはい!」出てくるなり、キタンが背負っているディパックに目を留める。
「うっわ、重そー」
「重てえぞ。持ってみるか?」
「か弱い妹に重いの持たそうとすんなって」
「おまえのどこがか弱いんだよ」
 全部だよ、全部!と言って、そのまま跳ねるようにキヤルは歩き出す。キタンはもう一度、テントを覗き込んで、それから「ロシウ」と呼んだ。
 はい?と見返すと、キタンはまた、何か言いたそうに頬のあたりを指でひっかいている。ロシウは一歩後ずさった。
「……なんですか?」
「バっカ。もうしねえよ」
 身体というより頭を下げたロシウに笑って、キタンはかがみ込んだ。
「その、なんだ」と小声が続く。「あんまりな、無理すんじゃねえぞ? ダヤッカとか、アイラックとかキッドの奴とか、いんだからよ」
「あーら、内緒話かしら?」
 キタンが無言で飛び退いた。「き、急に出てくんじゃねえよ!」
「そんな出口の真ん前にいるあんたが悪いんでしょうが」
 苦笑するリーロンの後ろから、やはり苦笑するような顔でキノンも出てきた。手にはたまにリーロンが使っている、少し大きめのポータブル端末を下げている。




 「さようなら、と僕らは言った」 Chapter4-3へ続く

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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