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2009.05.30 (Sat)

ふりそそぐ光みて : Fly highly Chapter2 

                                       『天元突破グレンラガン』



【More・・・】





 結局の所、働かないことには食い扶持は稼げない。
 地下に降りると獣の唸り声が坑内に響くようになってくる。ブタモグラ。ジーハ村の基本の生き物が、押し合いへしあいしながら鼻を鳴らしている。大人になればゆうに人間を追い越す大きさになる毛むくじゃらな、凶暴な、唯一無二の家畜。
 こいつらを余すことなく利用し尽くすことによってこの村は成り立っている。けれどこいつらは臭い。尋常でない糞をたれる。その始末をするのが、不本意ながら俺たち若い者の仕事だった。
「遅いよ、アニキ」
「悪りぃねえ」
 そう言って、俺はスコップを取る。やる気なんかあるもんか。せっせと働くヤツらが気付かねえくらいに、後からサボって見えねえくらいに、テキトーに手を動かす。それだけだ。それでオシゴトおしまい。
      くだらねえな。
 なんだかんだ言って、みんなクソ真面目だ。
 ちゃあんと一日分の糞をかきわけ、寝床が綺麗になったブタモグラは幸せそうだ。末は喰われるとも知らねえで。
「なあ、どうすんのよ、今日は?」
 後片付けくらいは俺も手伝うさ。細かく荒い砂利の中にスコップを出し入れして、糞を削ぎ落とす。そうしてがらんと放り投げた時、いつもつるんでるヤツが言った。
「どうするも何もねえよ、行くぞ」
 ははあ、とそいつは笑う。
「飽きないねえ、アニキは。今日も行くの?」
「行くって言ってんだろ。男に二言を訊くんじゃねえよ」
 そう言い捨てて歩き出すと、「着いていってやるよ」とそいつも後に付いてくる。そのうえ更に大声を張り上げた。
「おーい、行くってよ!」
「今日もかよぉ」
「ばっか、当たり前じゃねーか。アニキが行くんだぜ!」
 呼びかけもしないのに、そいつが音頭をとるせいで、いつも俺の後にはそいつとつるんでるヤツ二人もくっつき歩くことになる。
「なあ、今日はどの穴を見るの?」
 そいつは横に追いついて顔を覗きこんでくる。正直、鬱陶しい時もある。別にくっついて来いと言った覚えは一度もねえ。
「東か? 西は全部見ちゃったからなあ」
「今日は南の坑道を見るんだよ。行ってねえだろ、まだ? あそこは捨てられて随分たつからな。今までみてえに途中で邪魔されることもねえし」
 村は四方八方に坑道を伸ばし、広がっていく。
 穴を掘って、岩盤が丈夫そうなら更に掘る。でも中には、広げることに土壌が耐えきれなさそうな場所もある。つまりはこれ以上穴を広げたら、一気にどんがら埋もれちまいそうな土壌ってことだ。
 そういう地域一帯は、そのまま捨てられることになる。掘った土を戻すこともしねえ。第一、それはとっくの昔にブタモグラの腹ン中だ。
「よし、じゃあ、今日はそっちだな」
 そいつは呑気そうに行って、背後を振り返った。着いてくる二人に「南だ」と伝えてそのまま歩みが遅くなる。
 俺はそんなヤツらを待つ気はさらさらないから、そのままずかずかと雪駄を鳴らして歩いていく。
 かといって、ひとり荒野を行くわけじゃねえから、当然、村人たちに会うことがある。でもあいつらは俺たちの姿を見ると、ひょっと横穴に入りこむか、こっちを見ないように顔を逸らして壁際に寄る。
 ブタモグラの糞片付けのまんま風呂も入ってねえし、それにもともと俺たちは好き勝手に動いてる。なにかとコトを起こすことも多いから、お近づきになりたいとは世辞にも言えねえ。そのうえ、
「カミナぁ! どこに行く!」
 シャクのおっさんにも睨まれてる、と。
 村は言ってみれば、ぐるぐる渦巻きみたいな構造になっている。
 一枚の布に円を書くように、中心へ向かって切りこみを入れてみな。その真ん中だけをつまんで持ち上げると、逆円錐形ができあがるだろ? 村はちょうどそんな感じで、俺たちは階上へ向かってぐるりと延びる坂道にいた。で、シャクがいるのはちょうど真反対の坂の上。目ざといヤツだし、大きな声をしてやがる。
「どこだっていいだろーがよ!」
 ざっと踏み出した足下から、土塊が下の階層に向かって落ちていく。シャクは刀を振り上げた。
「いいわけがないだろうが! また何かやらかす気か! 待ってろ、そこにいろ!」
「……待てと言われて待ったためしはありゃしねーよ」
 俺は構わず道っぱたから身を翻す。
 見なくたってわかる。いつもみたいに刀を振り上げながら、シャクはこっちに向かって坂を駆け上がってくるんだろう。でかい図体の割に足は速い。それでも大人しく待ってやるほど暇じゃねえ。
「行こうぜ、アニキ」
 言われなくても。
 シャクが来ても、いつもの説教を喰らわされるだけだ。
 誰ともなく促して、俺たちはさっさと手近な横道に入りこんだ。この穴だらけの村で最初に子供が覚えて遊ぶのはこうした穴の続き道。入ってしまえば縦横無尽で、いくら怒り狂った大人が追いかけてきても捕まえられるもんじゃねえ。
 そんな感じで、いつも俺たちはシャクや、村のヤツらから逃げては村をほっつき回って毎日を過ごす。
 子供の時分からそうだし、大人になっても変わらねえ。これから先、どれだけ歳喰ったって、きっとそうだ。
 商売屋か職人にでも生まれれば別だが、俺やつるんで歩くこいつらみたいに身寄りも何もねえヤツは、ブタモグラの世話をするか、シモンみたいに穴を掘るかの、どっちかしかねえ。
 糞まみれか、土まみれ。
 いずれにしても ?? くだらねえ。
 そんなくだらねえ村に、俺は生まれた。生まれはしたがこのまま終わる気は、さらさらねえ。生まれちまったからにはこの村で、このまま生きていく?
 冗談じゃねえ。
 くだらねえ村にいて、くだらねえ暮らしをして、俺までくだらねえヤツになる必要がどこにあるっていうんだ?



ふりそそぐ光みて : Fly highly Chapter3 へ続く

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

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