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2009.05.30 (Sat)

Fly highly Chapter3 

                                       『天元突破グレンラガン』



【More・・・】









 南の坑道は打ち捨てられて、もう何年もたっている。今ではもっと南西の方に固い岩盤が見つかって、穴はそっちで一生懸命掘っている。
 打ち捨てられたとは言っても、途中までは掘ってあるし、入ってみればどれもしっかり距離がある。離れた端の方に、崩れて埋もれた坑道があったから、それが原因でこの一体すべてが放棄されたんだろう。
 その開いたままの入り口を覗きこみ、ある程度入りこんで、俺たちは坑道を調べた。目的に向いた、おあつらえむきな穴を探して。
 そうして、たまには目当てのものを見つけることもある。
「いいじゃねえか。これ!」
 だろう!とそいつは言った。目の前に開く坑道はゆるく傾斜し、上に向かっているという。上に向かって。大事なのはそこンとこだ。
「ちょっと入ってみたんだけどさ、岩盤もそうヤワじゃねえみたいだし」
「どれくらい行けるんだ?」
「それが結構先まで進んでンだよ。長くて途中で帰ってきたくらいでさあ。これって、いけんじゃない?」
「ようし、待ってろ!」
 行動するは我にあり、だ。うだうだ言ってるよりも入って様子を見に行った方が早いだろ。
 ええ?とかってそいつが戸惑っている間に、俺はそいつの手からランタンを奪ってさっさとひとり、坑道の中に入った。明るいランタンに照らされて、荒削りな表面を坑道はさらけ出す。
 ヤツが言うように、足下はゆるい上り坂がだらだらと続いてるようだ。そのうえ広い。かなり高い俺の身長でも、途中まではかがまずに進むことができた。ずんずんと奥へ進み、しっかり天井に板が噛ませてあるのも確かめた。
 これは、と思い始める。
 距離がある。補強もしてある。どうやら上に向かい続けている。いや……確かに上に向かっている。下へ掘り進めば感じるじんわりとした地熱の熱さや、こもってくる湿気がない。
 行けるんじゃねえか?
 再びそう思った時、かざしたランタンが、ふっと消えた。あっさりと、暗闇が周囲を包みこむ。
 どうやら電池が切れたらしい。用をなさないランタンを地面に置き、手探りで腰にくくりつけていた自分のランタンのスイッチを入れる。明るくなった手元。そのまま歩き出さずに、ランタンを左右に振った。行くも戻るも暗闇だった。このままこのランタンも切れて、そのまま閉ざされるのはぞっとしねえ。
 ランタンの明かりの向こう、行く手はまだ長いような気がした。それが確かめられれば今日はいいか。
 ランタンの電池は戻る道を照らすだけは残っていた。ぶらぶらと坑道を出ると、三人が雁首そろえて俺が戻るのを待っていた。心配してやがったのか。
「やあ、諸君! 待たせたな!」
 近付くとその顔々が一様にゆるむのを見たら、そう大声を出さずにはいられない気がした。
「ったく、勝手に行かないでくれよなあ、アニキ」
 電池の切れたランタンを押しつけられて、そいつはぼやいた。
「まあ、そう言いなさんな。それより喜べ! ついに地上へ行く日が決まったぞ!」
「いきなり地上かよ!?」
「おうさ、地上よ! この坑道はもしかすると、もしかするかもしれねえぞ」
 こういう時、こいつらの顔をまず走るのは不安だ。本当に行けるのか? 大丈夫なのか? コイツは頭がおかしいのか?
 無理もねえ、と内心で俺はため息をついた。
「今見てきた様子だと、かなり上まで続いてるみたいだ。まあ、放棄されて随分たつから、きっと中途で止まってるんだろうけどな。それがどうした。ぶちあったたら掘りゃあいい! 俺たち自身のこの腕で掘り進めばすむこった」
 それでも俺は構わず語を繋ぐ。どれだけ言ったって、こいつらから不安をぬぐい去ることはできやしねえのは知っている。俺が知っている外の世界は、こいつらにとってはまるで夢物語だったから。
「掘って掘って、ひたすら上に向かって掘り進めれば、いつかは地上に飛び出せる。おあつらえむきなこの穴を見逃す手なんぞありゃしねえ。どうすんだよ、おまえら? ついて来るのか、来やがらねえのか?」
 俺には幼い頃の記憶がある。俺がほんの子供だった頃、親父はどうやってか地上に出て行った。俺はその姿をただ見送った。見送ることしか……できなかった。見渡す限り真っ赤に染まった、何にもなかった荒野の記憶。
 親父の後を追いたいんじゃねえ。俺自身があの景色の先に、どこまでもどこまでも行ってみたい。俺にとっての地上は、たぶんそういう場所だ。
「……地上かあ」
 けれどこいつらは違う。だから俺は時々考える。こいつらにとって地上はいったい何なのか。子供の時分から穴蔵村が世界のすべてと教えられて育ったヤツら。
「お、おう。そーだよ、地上だよ」
 ヤツらの顔から不安が消えた訳じゃねえ。消えることがある訳ねえ。地上へ、と一口に言っても、それはきっと俺と同じ場所じゃねえんだろうから。
 でも、今はそれで充分だ。
「行くぞアニキ! 地上へ出よう。いよいよこんな村から出ていくんだ!」
 言っている自分に煽られでもしたのか、三人はぐっと拳を握りしめる。
「よくぞ言った諸君! 出発は明日だ!」
「明日あ?」
 仰天したように繰り返すのをぎろっと睨むと、そいつはびくつきながらも「けどさあ」と言う。
「ブタモグラの世話はどうすんだよぉ? ちゃんとやって行かねえと、村長にまた怒られ」
「あのなあ」
 最後まで俺は聞いていられず、腹の底からため息をつく。
「おまえは明日もその先も、ずっとこの村にいる気かよ?俺たちは地上へ行くんだぞ? 村長がなんだ、ブタモグラの世話がなんだ。そんなモンはほっぽりだせ! ほっぽりだして俺たちは明日、こんな天井ぶち破るんだよ!」
 一刻も早く。一刻も早く!
 こんな穴蔵村からおさらばして、一刻も早く、俺はあの荒野に立ちてえんだ。

Fly highly Chapter4 へ続く

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

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