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2009.05.30 (Sat)

Fly highly Chapter4 

                                       『天元突破グレンラガン』



【More・・・】







 天井ぶち破るにも準備がいるのくらい、俺にだってわかる。
 水もいる。掘り進むンならドリルもいる。それを照らすランタンもいる。予備の電池だっているだろう。ブタモグラの肉だってくすねてこなきゃなんねえ。まあ、それは初めてのことじゃねえから簡単だけどな。
 ひとまず自分の巣穴に戻ろうと、俺たちは南の坑道を後にする。これから消灯が叫ばれて、村のヤツらが自分の巣穴に戻ってからが俺たちの勝負時だ。
 いつもみてえにたわいなく地上の話をして戻りかけたその時だ、俺は鈍い音を耳にする。打ち捨てられた坑道、もちろん俺たち以外に人気はねえ。ねえ筈なのに、音はする。人目を忍んだ、くだらねえ音がする。
「……アニキ」
 立ち止まった俺の肘を、つかんでささやく。
「行こうぜ。ほっとくに限るんだよ、ああいうのは。明日のためにもつまんねえ真似はなしにしようぜ。俺たちには関係ねえよ」
 そう、関係ねえ。関係なかったな、今までは。
「おまえらは先、……戻ってろ」
 アニキ、ともう一度呼ばれたものの、三人が顔を見合わせる気配がした。じゃあ、と控えめな声に応える気も、そそくさと去る足音を振り返る気も、俺にはない。
 ぐるりと肩を回す。俺は足を踏み出した。
「あんたら、なぁにやってんだ?」
 かけた声にさっと振り返ったのも三人、息を切らして睨め付ける。その囲んだ足下、うずくまった小さな姿。
「カミナか」
 知らねえ顔をしてる、見知った顔。気持ちのいいもんじゃねえな、こういうの。一番手前近くにいるのは年嵩の、シャクの側でよく見る男だった。
「おまえこそ、こんな所で何をやっている? 面倒事をやらかすつもりなら御免だぞ」
 徐々に俺はヤツらに近づく。間合いを詰める。ヤツらの足下のあいつは、相変わらず腹を抱えてうずくまったままでいる。
「面倒事とは言ってくれるねえ。人のこと言えんのかよ?そっちこそ面倒起こしてるんじゃねえのか?」
「これか?」
 ヤツは一瞬あいつを見下ろし、ぺっと唾を吐いた。
「これは面倒事には入らんよ。言ってみれば日課だな。仕事帰りの楽しみって奴さ」
 笑うヤツにあわせて、周囲の二人がにやにやと笑う。丸くなったあいつにまた向き直りざま、ヤツは軽く俺に向けてしっしと手を振った。
「わかったら行け。ここで会ったことはシャクには黙っておいてやる。どうせまた、グレン団なんて訳のわからんもんで何かやらかそうとしてるんだろ? 関係ないことに首突っこんでんじゃねえよ。憂さは他で晴らすんだな」
「……憂さを抱えてるのはどなたさんかねえ」
 笑い含みに言ってやると、図星だろうに「なんだと」とヤツは気色ばむ。
「関係のあるもなしも関係ねえ。関係あるって思いやあ、その瞬間から男の関係は始まンのよ。おまえらこそ、とっとと行ったらどうなんだ?」
 ぐっと、ヤツが一歩踏み出す。俺も負けじと踏み出した。間合いが近い。
「見逃してやるって言ってるんだ、え? 大人しく引っこんでろよ、半端者が。ガキはガキらしく糞して寝ろ」
「糞に糞と呼ばれる覚えはねえよ。特にあんたみたいな、弱いモン虐めして、喜んでるようなクズにはよ」
「ぬかせ」
 がん、と腹に拳が入った。予測の内だから耐えられるぞ、俺の腹筋。
「……そうやって殴る他は能のねえ、おまえらばっかりいるもんだから、俺たち若いモンが苦労すんだろうがよッ」
 殴り返そうとして上げた拳がひょいと空振る。軽く上体をそらしたヤツ、後ろから背を殴られ倒れる俺。後ろに目なんかついてねえからな。
「威勢のいいのは口だけか、カミナ? だからおまえは半端なんだよ。シャクの目が無ければな、」
 さんざん殴られた俺の目を見下ろして、ヤツは鼻で笑う。
「おまえみたいな嘘つきの息子、このまま土に埋めてやってもいいんだぜ? 誰も悲しみゃあしねえんだからよ」
「ざけんな! 親父は嘘つきじゃ」
 ごっと何度目かの蹴りが脇腹に入る。意気込んだ息が邪魔されて、息も満足に出来なくなる。
 畜生。
「……うるせえんだよ。馬鹿が」
 ヤツは行きがけの駄賃みたいにもう一度、俺の腹を蹴りつける。横に転がったあいつの頬を、軽く叩いた。
「じゃあな、シモン。また明日だ!」
      畜生。……畜生!




Fly highly Chapter5 へ続く

テーマ : 文学・小説 - ジャンル : 小説・文学

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