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2009.05.30 (Sat)

Fly highly Chapter6 

                                       『天元突破グレンラガン』



【More・・・】







 どうして誘いを掛けたのか、今もってもそれはわからねえ。あいつが来るかもわからねえ。
 ……いや。
 ひゅうと首の後ろ、南の坑道から吹き出す風が薄くかすめて行く。俺は壁に寄りかかり、体重をかけた足を変える。
 むしろ来ねえ可能性の方が高いだろう、という気がしてる。シモンは生真面目だ。どんなに村長にどつかれようと、あいつらに殴られようと、穴掘り作業をサボったって話はついぞ聞かねえ。
「ねえ、アニキ? 早く行こうぜ」
 すぐ側で、痺れを切らしたようなため息がした。サングラスの向こう、村へ続く坂道を俺は見ている。
「村に未練でもあるんですか?」
「馬鹿言え」俺はつぶやく。「未練なんぞあるもんか」
 坑道の入り口から俺は背を離す。「よし」と腹に気合いを入れる。待つ必要なんて、ありゃしねえ。
「グレン団諸君! これより穴蔵村脱出作戦を敢行する!準備はいいな!」
 おう!と拳を上げるのはいつもの顔だ。ざり、と踏みしめる雪駄の下で砂利が鳴る。
「いよいよ俺たちのその日が来た! こんな村からおさらばする手段が見つかったんなら長居は無用。この先どんな困難が待ち受けようとも、俺たちは蹴飛ばし殴ってぶち破る。グレン団の心意気、見せてやらなきゃ男がすたる! 
行くぜ!」
 もう一度の「おう」と応じる声が三つ、それが乱れた。
「何だよ? 挫くなよ!」
 言って振り返ると、そいつは「あれ」と村からの坂道を指さす。あいつが……シモンが息せきって駆けてくる。思わず、口の端に笑みが浮いた。
「何だよ、おまえ?」
 やって来るシモンに一人が踏み出し、立ちふさがった。咎めるような声がシモンを見下ろす。
「こっから先に用のねえヤツは回れ右だ。とっとと穴掘り現場に戻れよ」
「俺は、」
 抗弁しようとするシモンは、俺をちらり見て、結局口ごもる。俺はサングラスを押し上げた。
「いいんだよ。俺が誘った」
 はあ?と間の抜けた声を出して、そいつは振り返る。
「何だってこんなヤツを? こんなヤツ、穴掘る以外に能なんてないですよ?」
「だからだよ」そうだとも、それも理由だ。「言ったろ?
この先は掘り進めなきゃならねえだろうって」
 シモンはさっと俺を見て、そして目を伏せた。はん、利用されて傷つきましたってツラか?
 俺は手を伸ばした。誘った時みたいにシモンの頭を軽く押し下げる。ぐりぐりと撫でた。
「良く来たな」
 ふっと手の下で、抵抗するシモンの力がなくなった。もう一度、俺はシモンの頭を小突いて、離す。先に立って坑道に踏みこんだ。
「怖じ気づかねえ、遅れをとらねえ。保証もねえが、束縛もねえ。ねえねえ尽くしの出発よ!」
 続く足音はしない。俺は少し振り返る。シモンを含めたあいつらは坑道の入り口にまだ、立っている。俺は、腕を振った。ランタンが揺れて、光が揺れる。ぐらぐらぐらりとあいつらの、心根が揺れ動くように。
「俺たちは無敵のグレン団だ! 団員揃ったその前に、遮るものなど許さねえ。行くぞ、おまえら!」
「ア、アニキ! 俺も行く!」
「待ってくれってばよ、アニキ!」
「俺もだ! 待ってくれ!」
「待たねえぞ、ついてくるやつだけついて来い!」
 そう言いながらも俺は足を止める。ぱたぱた音をさせて追いついてくるあいつらの後ろ、まだシモンはためらいがちに壁に手をついている。
「どうすんだ、シモン!」
 目の端にその姿を収め、俺は問う。シモンは壁から手を離した。
「俺も行くよ。カミナと一緒に、俺も。……行く」
 口の端が上がるのを自覚する。「それでこそ団員だ!」
「いや、別に団員になったわけじゃ」
「細かいことは気にするな! ここにいるってのがその証だよ。行くぞ!」
 入ってしまえば光源はランタンだけ。
 長い道のりになるかもしれねえことを考えれば、光は最大限絞らなきゃならねえ。地上に出たらどうするこうする。あいつらはその後のことでやかましい。俺はそれに口を挟んだり、挟まなかったり。当然だろ? まず地上に出なきゃ始まらねえ。
 ゆるくゆるく坑道は、上に向かって上がり続ける。昨日断念したあたりを越えて、更に進めば徐々に道幅は狭くなる。手に触るドリルの掘り跡。補強のために噛まされる天井の板の数が少なくなっていく。
 そうしてついに、突き当たりにぶち当たった。
「やっぱりふさがってやがったな……」
 俺は行く手の土を触る。ぼろりと土塊が落ちた。坑道はかなり狭くなっていた。俺は軽くかがむ必要があったが、俺以外はそうでもねえくらいの広さ。だったら道具を振り上げるのもできそうだ。
「おまえら準備はいいか?」
「もちろん!」
 声をかけるとあいつらは、かねて用意の道具を取り上げる。シモンもドリルを持っている。
「掘るぞ!」
 それからは掘って掘って掘りまくった。それぞれドリル駆使して土を削ってかい出して、積み出しては先に道を造る。広い道である必要はねえ。ただただ先へ進めばいい。先へ、地上へ、繋がる道であればいい。
 なのにそこで     地震が起きた。


Fly highly Chapter7 へ続く

テーマ : 同人小説 - ジャンル : 小説・文学

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