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2009.05.31 (Sun)

Notice it Chapter2 

『天元突破グレンラガン』

【More・・・】




 この村は貧しいのだと、ロシウが知ったのはいつのことかわからない。
 天上の国にも人は住む。
 こんな村にも時々、旅人がやって来ることがある。迷いこんだ彼らの世話をするのもマギンの役目のひとつだったが、そうした時のマギンは少し怖い、とロシウは思う。
 村人と対する時はけしてみせない厳しい表情と低い声。旅人と話す時、マギンの胸にはいつも聖典が抱えられていた。
 マギンと話すと、やがて旅人は天上の国へと、元来た道を戻っていく。彼らが村に留まることはない。少なくともロシウが知っている限りでは一人もいなかった。
「だから」と、マギンは言うのだ。
「惑わされてはいけない。彼ら天上人には行く場所がある。たとえどれだけ同じように見えたとしても私たちとは、違うのだ」と。
 確かに彼らは自分たちと良く似て、そしてまるで違っていた。
 どの旅人もずいぶんと丸い体付きをしていた。顔も黒く、背も高い。それに比べれば村人はみな顔も白いし、体付きも細く見えてしまう。どうしてこうも違うのか、とても不思議だったことをロシウは覚えている。
 旅人が去り、残されるものについてもそれは同じだった。
 見たこともない食べ物、さわるとかさかさ音がする大きな紙、身に纏う衣。
(こんなものは地上に行けばたくさんあるんだぞ)
 味わったことのない味、見たこともない絵柄、撫でたこともないような柔らかな布。
 それらは村以外の生活があることを教えてくれる。
 まるであの香の匂いのように、側にあるだけで嬉しかったり、優しい気持ちになれる物がいくらでもあるのなら、それが豊かだということなのかもしれなかった。
 だから     村は、貧しいのだとロシウは知った。
 地下にある巨大な湖が、この村の糧のすべて。サカナを獲り、藻と苔を削り取る。水を求めてやってくるコウモリを捕らえ、ネズミを捕らえる。すべての暮らしがそれらだけに依っているのだ。
 村は総じて貧しい。けれどその中でも、さらに貧しい暮らしというものはありえる。
 イドマの家は貧しかった。
 それは彼女自身が幼い上に病身であるせいでもある。共に暮らす祖母が高齢であるせいでもある。けれどやはり一番の原因は、息子であり父であるザファンが彼女たちを顧みないことにある。
 イドマは、ザファンの一度目の婚姻で生まれた娘だ。
 彼女の母フリエラはとうに亡い。元より身体の弱い女性だったが、病を得るとあっけなく死んでしまった。その時イドマはたった二歳。今から二年ほど前になるだろうか。
 そうしてザファンは新たな妻を得た。それがユウネだ。ユウネとの婚姻を機に、ザファンは新居を構えた。老いた母と、寝付いた娘を家に残して。
 だからこその貧しさが     そこにある。


Notice it Chapter3 へ続く
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