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2009.05.31 (Sun)

君をさがして、明日の丘で Scene1 

『天元突破グレンラガン』

【More・・・】



 空が駆けていく。窓の外、いや、グレンのモニター越しに走る景色。
 今日もいい天気だ、とロシウはただ思う。緊張も、期待も、恐れもない。こんなものだったのか、と自分でも不思議な気がするほど、落ち着いていた。
「やばいやばいやばい! 絶対遅刻だ。遅刻する!」
 反対に、通信回線から聞こえるシモンの声は切羽詰まっている。さっきからそれしか言わない。グレンラガンがかなりの速度を出して飛んでいるのも、実はシモンの焦りがその正体だったりする。
 どうしてかと思えば、それはそれでロシウは少しおかしくなった。
「大丈夫ですよ。きっと待っていてくれますから」
「それがそうとも限らないんだよ、最近は!」
 慰めにかけた声を、シモンはぼやきで打ち返す。
 ロシウは操縦桿から手を外した。そうしてしまっても、何の問題も発生しないから。グレンの操縦系は今、全体ラガンに従っている。
「この頃は約束に遅刻するとニア、あんまり待っててくれないんだよ。すぐに出掛けちゃうんだ、俺を置いて」
 ああ、とロシウは頷く。そのまま右手はすべってもう一度、軽く操縦桿をにぎりこむ。
「キヨウさんたちが良く誘いに来ているみたいですね」
「そうなんだよ! もう、すぐ買い物とか買い物とか買い物とか! 女の子ってどうしてあんなに服を買ったりするのが好きなんだろう? ロシウ、わかる?」
 わかるはずがない。けれどロシウが何か言う前に、シモンは「わかんないよね」と続けた。ロシウは開きかけた唇を閉じる。
「そのうえニアがまた、わけのわかんないこと言うんだよね、出掛ける時。まあ、今に始まったことじゃないんだけど」
 シモンの笑い含みの声には愛しさがにじんでいる。ロシウは操縦桿を離し、そのまま形に沿って手を這わせた。ゆっくりと。
「例えば、どんなことを?」
「えーと」
 シモンは口ごもる。
「一緒にいなくても、一緒にいたいと思っていたり、その人のことを思っていれば、それは一緒にいることと同じです、って」
 ロシウはふと、上向いた。そこにはラガンのドリルが突き刺さる。銀色に、鋭く光って。ロシウは微笑んだ。
「……ニアさんらしいですね」
「らしくってもダメ! その後に、だからシモンは寂しくないですねって出掛けちゃうんだから。俺は置いてきぼりなの!」
「いいじゃないですか。だってそれは、いつもニアさんはシモンさんを思ってる、ってことでしょう?」
「そうなんだけど」
 不満そうな声が途切れた。悪い、とシモンは叫ぶ。
「ロシウ、回線切る。このままだと本気で遅刻だ!」
 ぎゅん、と再びグレンラガンは速度を上げる。ロシウは座席に押しつけられるまま、操縦桿から離した右手を抱えこんだ。少し痺れがあった。少し冷たかった。
 ロシウはただ、モニターへと目を向けた。
 そこに映りこむ景色はもはや、色合いだけを伝えるに過ぎない。飛び去る緑色の中に混じりこむ茶。それで森林地帯を抜け、砂漠地帯に入っただろうことが知れた。
 いまだカミナシティは、遠いのだ。


君をさがして、明日の丘で Scene2 へ続く

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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