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2007.09.09 (Sun)

揺るがない視線  Chapter3 

                                       『天元突破グレンラガン』

【More・・・】



 結局、格納庫を出たとしてもシモンたちに他の行き場があるわけでもなく。整備を続けるマッケンとレイテを残し、ぞろぞろと会議室に集まってだらだらすることになった。
 戦闘が終われば事務方には山ほどの仕事があるが、乗り手には休息があるのみ。
 キタンたちには自分の執務室があるのだが、現職中にも馴染みがない部屋に戻っても部下たちに邪魔にされるのは目に見えている。居場所がないのはヨーコやヴィラルも同様だ。
「で、どうするのよ、これから?」
「どうするって、決まってる。アンチ」
「アンチスパイラルを倒しに行くってのはなしよ」
 ぴしゃり、とヨーコは言ってのける。
「そんなのは当然でしょ。あたしが言ってるのはそうじゃなくて、今日、今、これからのことよ。月が落ちてくる心配がなくなったこととか、今後のこととか、どうやって皆に報せるつもり? スピーチでも流す?」
「えーと、うん、多分」
「多分って……あやふやねえ」
 そんなこと言われてもなあ、とばかりにシモンは回りを見回したが、さりげなく皆が目をそらすのはどういうわけだ。
「もしかして何も考えていないわけじゃないでしょうね。……もしかして、今までそういうの、全部ロシウがお膳立てしてくれてた訳?」
 シモンは笑うしかない。 「……もしかしなくても」
 あっきれた!とヨーコが叫んだその時、扉が開く作動音が響いた。ロシウが面食らったように立ち尽くしている。
「……入ってもいいですか?」
「もちろんよ」 シモンより先にヨーコが言い、ちょいちょいと手招いた。 「ロシウ、今までのシモンの演説、全部あんたが手配してたんだって?」
「そうですが…?」
「今ちょうど、これからどうやって皆に報せるか、シモンに聞いてたところなの。どうしたらいいと思う?」
「そう思ってスピーチの草稿を用意してきました。端末を開いてください、総司令」
 言いながらロシウはシモンに歩み寄った。
「総司令端末にアクセスできるようになっています」
 ん、とシモンはさっそく端末を起動する。起動音が響くほどの沈黙の中、二人の些細な会話だけが交わされる。
「パスワード、使えるの?」 「前のと同じです」
「ああ、これだな」
 そう言って草稿に目を通し始めたシモンだったが、徐々にその顔が不機嫌になってくる。その様子を以前と同じ角度で、しかし距離を置いた場所に立ったロシウは見ている。
 とうとうシモンは、苛々とロシウを睨めあげた。
「なんだよ、これ。最後のところ」
「おかしな所がありましたか?」
「おかしな所って……何、最後の。 『前総司令ロシウ・アダイを更迭し、裁判に掛けることとします』 って」
 え?と誰もがシモンにならって見返す先で、やはりロシウはまっすぐに、目を逸らさずにすべてを見返している。
「こんなの必要ないだろ。俺は総司令に戻ったし、ロシウも補佐官に戻ってくれればいい。裁判なんて、やる必要ない」
「必要はあります。僕は避難民がまだ残っていることを知りながら、アークグレンを発進させた。少なくとも残された市民に対して、僕は責任を果たす義務がある」
「……人類の知識、だったな」
 ヴィラルが呟き、ロシウはヴィラルを見返す。
「そう、知識だ。法律によって人類は秩序を手に入れた。誰もそれを犯すことは許されない。たとえ補佐官だったとしても、前総司令であったとしても」
「……別にさあ」
 決まり悪そうに、髪を掻きむしりながら言ったのはゾーシィだった。少し情けなさそうな、そんな笑顔を浮かべている。
「俺たちと同じように宇宙に戦いに出た、でいいんじゃないの? 俺たちはガンメンで、お前はアークグレンで、さ」
「「そうだ」」
 いつものように声をそろえて、そして双子は顔を見合わせる。
「宇宙にはでっかいムガンがいた。俺たちガンメンだけだったら持ちこたえることもできなかったかもしれない」 と、ジョーガン。
「実際、あのままここにアークグレンがいても破壊されたかもしれない。宇宙に出たのは良かったんだ」 と、バリンボー。
「そうだろ? 馬鹿正直に言うばかりが政治じゃねえはずだぜ?」
「うわっ、ゾーシィの口から政治って単語、初めて聞いたぞ」
「うるせえよ、キタン」 ちっと舌打ちして、ゾーシィはシモンに向き直る。 「どうだい、総司令?」
 シモンは答える代わりに、立ち尽くすロシウを見た。眉間のしわが深くなっている。
「俺もそれでいいと思う。裁判なんて必要ない」
 なおも反論しようとして開きかけたロシウの口が 「ロシウ」 とシモンの呼び声で閉じる。
「それでいい。更迭もなし。ロシウは補佐官に戻って、今までみたいに俺を助けてくれればそれでいい」
「……わかりました。あなたがそう、望むなら」
 少しの沈黙のあと、ロシウは呟くようにそう言った。
「うん、じゃ、この話は終わりな?」
 シモンは再び端末に向き直る。
「じゃあ、さ、次、スピーチ流すにはどこに連絡すればいいんだ?」

「揺るがない視線」 Chapter4 へ続く

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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