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2007.10.23 (Tue)

さようなら、と僕らは言った  Chapter2-1 

                                『天元突破グレンラガン』

【More・・・】



 はっきりと目を覚ます前、何度もロシウは誰かの声を聞いたような気がした。
 それはヨーコの呆れ声だったり、ニアの心配そうな声だったり、ギミーやダリーが呼ぶ自分の名前だったりした。
 リーロンやキタンの妹たち、ゾーシィたち。
 たくさんの顔を見たようにも思うし、その中にはロージェノムの顔もあったような気もする。
 ---ロージェノム。
「お」 と青色のサングラスの向こうで目が見開いた。
 ちょうど顔を覗きこまれていたらしい。ロシウがぱっちり目を開けると、バリンボーが慌てたように身を起こした。
「おまえ、急に起きるんだなあ。いきなり目を開けるからびっくりしたぞ」
 思わず毛布を右手で剥いで起きようとして、ロシウは顔をしかめる。
 するとバリンボーもつられたように顔をしかめた。手を出しかねるように両手が宙でばたばたする。
「まだ起きるのは無理だろう。どうだ、調子は?」
「大丈夫、です」
 またベッドに体重を預けながら、やはりロシウはそう答えた。他に答えを知らなかった。
 バリンボーはリーロンとは違うので、頬をひっぱたりせず 「そりゃあ、いい」 と破顔する。
「ずっと眠ってたから心配したぞ。熱もあんまり下がらないし」
 言いながら、額に軽く手を置かれる。リーロンとも違う、少し節ばった指……司祭様のような。
 うん、とバリンボーは頷いた。
「熱はだいぶマシになったな」
「起きたのか?」
 話し声を聞きつけたのか、同じ顔が2つ並ぶ。
「まだ寝てた方がいいみたいだ」 「そうだな」
「いえ、もう」
 口の中が乾いている。頭の芯はぼうっとしている。けれど---妙に冴えてもいる。
「もう、大丈夫です」
 ロシウが言うと、双子は互いに顔を見合わせる。「 「本当にそうかあ?」 」
「なんなんですか、二人で」
「リーロンから聞いてるぞ」 ほら、とジョーガンが水を差し出す。 「ロシウの 『大丈夫』 は信用するなって」
 内心ロシウはため息をつく。
 なんてことを言ってくれたんだと思いつつ、左腕だけで起きようとすると、すぐにバリンボーの手が伸びて背を支えられる。
 口に含んだ水が、冷たく心地よく、喉をすべり落ちた。
 カップを返してそのまま、ぽん、とロシウは肩の傷を叩いてみせる。ずきりという痛みはこの際、無視をする。
「本当に大丈夫ですって。もうそんなに痛くありませんし。大丈夫の他に大丈夫って、何て言いましょうか?」
 うーん、とまた、双子は顔を見合わせた。そして、笑った。
「確かにそうだ」 「大丈夫は、大丈夫だな」
どれ、と今度はジョーガンの手が伸びた。額に手を当てて、そして離れる。
「熱はだいぶマシになったな」
「でしょう?」
「だったら何か喰うか?」 「腹減っただろう?」
 訊かれてロシウは首を振った。
 このじりじりとした、胃のあたりが焼け付く感覚は、少なくとも空腹によるものではない。
「僕はどのくらい寝ていたんですか? シモンさん……皆さんはどこですか?」
「だいたい半日って所だ」 「ぐっすり眠れて良かったな」
「シモンはみんなと、あっちにいる」 「ばたばたしてたから目が覚めたんだな」
「 「ロシウ!」 」
 ベッドから足をおろすと、双子は声をそろえた。「 「それにしたって起きるのは無理だろう」 」
「でも、もう、行かないと。僕だけ寝てるわけにはいきませんよ」
「怪我をしてるんだから別だろう」 「さっきまでシモンも寝てたんだぞ」
「シモンさんが?」
「やっぱり調子悪くってな」 「みんなの所に行ったのは今さっきだ」
 ならば余計に、とロシウは枕元、寝てる間に解けてしまった髪の結び紐を探す。
「シモンさんが行っているならちょうどいいです。気になっていることがあるので」
 片手で後ろ髪をまとめようとするが、上手くいかない。所在ない手に、紐だけが残った。
「シモンだけじゃ駄目なのか?」
 どうだろう。シモンも知っている事だったが、話してくれているだろうか。
「……わかりません。だから、それを確かめにも行きたいんです。本当はもっと早く、確認しておかなければならなかったのに」
 口に出してから本当に、この過ぎてしまった時間が悔やまれた。ただ眠ってすごしてしまうなんて。
 どうしてグレンを降りてすぐの時に、リーロンから手当を受けている時に、言ってしまわなかったんだろう。
 ロージェノム。螺旋王。最期の言葉。---ロージェノム。
「それは大事なことなのか?」
 言われて、ロシウはジョーガンを見た。「……わかりません」
「わからない、って?」
「大事なことなのか、そうでないのか。僕にもわからないし、たぶんシモンさんにもわからない、と思います。だから」
「 「みんなに訊こうって言うんだな?」 」
 はい、とロシウは頷いた。ふん、とバリンボーは鼻を鳴らす。
「よし、じゃあ行くか」 「おう、行こう行こう」
 ざ、と双子は立ち上がる。ぽかんとそれをただ、ロシウは見上げた。
「 「どうした?」 」
 ははん、とジョーガンが口の端をつり上げる。「行かせてもらえないと思っていただろう?」
 まさにそうだった。
 今考えていたのは、駄目だと言われたら何て答えようかとそればっかり。
「大事かも知れないことはみんなで話す」 「みんなで話せばそんなのはわかる」
 な!と双子はそれぞれ外側の手で、ロシウの肩を軽く小突いた。もちろん傷に障ることなく。痛みもなく。
「だから連れてってやる。おまえがみんなに話せばいい」
「俺達が今聞いても、みんなで聞いても同じだからな」
「 「そうだろう?」 」
 満面の笑み二つに見下ろされては、ロシウも一緒に笑うしかない。
「そうですね……。皆さんにも聞いてもらいたい、と思います」
 気付けば、腹の具合は収まっている。消えたわけではなかったけれど。
 ロシウも用心しつつ、ゆっくりとベッドを立った。
 心配したような立ちくらみは軽く、少し前のめりになりそうなだけ。
 大丈夫だ。
 こらえて笑顔を作ったロシウが双子を見上げると、双子もまたにこにこしている。
「リーロンの奴、大袈裟なんだな」 「だな」
 バリンボーから渡されたシャツに腕を通す。
 といっても一人では右手が上手く動かせず、結局は着せてもらうことになる。この際、後ろ髪も結んでもらった。
 その様子を見ていたジョーガンが、少し首を傾げる。
「やっぱり、少し辛いか?」
「そんなことありませんよ」 ここで振り出しに戻っては元も子もない。 「だ……寝起きで少しぼやっとしてるだけです」
 最後のボタンを留めたロシウを、腕を組んで見下ろし、そして双子は同時に頷いた。
「ジョーガン?」 「そうするか」
「はい? え、あ、」
 そのままジョーガンはロシウの背中と膝の裏に手を入れて、すくい上げるように抱き上げた。
 急に上がった視界とに戸惑って、ロシウは慌てる。慌てすぎて固まってしまう。
「やっぱりちょっと心配だ」 「本当は寝ていた方がいいんだろうけどな」
「だからっ。大丈夫だって言ってるじゃないですかっ。降ろして下さいよっ」
「向こうについたら降ろしてやる。気にすんな、抱っこしたって全然重くない」
「おまえ、もうちょっと太った方がいいぞ」
「いや、太って……って、そういう事じゃなくて!」
「 「そういうことじゃないって?」 」
 は、とロシウは声を上げる。「恥ずかしいじゃありませんか!」
 双子は顔を見合わせ、そしてどちらからともなく吹き出した。
「恥ずかしいことなんてあるものか」 「ギミーもダリーもこうしてやると喜ぶぞ」
 ん?と双子はロシウを覗き込む。
 ああ、とロシウはため息をついて力を抜いた。
 駄目だ、降ろしてくれそうにないことがわかってしまった。
「僕はそんなに小さくありませんって……」
 それでも最後の抵抗に呟くと、ジョーガンは 「そうだな」 と言って笑う。
「あいつらよりでっかいことは確かだな。けどまあ、今は無理しなくてもいいってことだ」
「そうだとも。ちゃんと立てもしないなら、いつまでたっても元気になれないぞ」
 不調がばれている。ぼんやりと、首のあたりが熱くなるのがわかった。
「大丈夫、なんですけど……」
「これか」 「これだな」
 うんうんと双子は頷きあう。「だから、なんですか、二人して?」
「 「やっぱりロシウの 『大丈夫』 は信用できない」 」
 にっかりと、双子は笑った。


「さようなら、と僕らは言った」 Chapter2-2   へ続く


テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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