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2007.11.15 (Thu)

さようなら、と僕らは言った  Chapter3-3 

                               『天元突破グレンラガン』

【More・・・】



「な」
 あんぐり、とキヤルの顎が落ちる。「なんだよ、ソイツ!」
「その獣人は何ですか!」 「ちょっと、お兄ちゃん!」 「 「どういうことだ!」 」
「あー。うるせー」
 キタンがうんざりしたように目をすがめて、耳をふさぐ。身を乗り出したバリンボーからギミーとダリーがつるつると降りて、ロシウの両腕に飛びついた。
「うるさいじゃありませんよ! どういうことなんですか!」
「だからそれをこれから説明するから」
 困ったような顔でダヤッカが手をひらひらさせる向こう、びくりと翼を揺らした獣人は一見して小さかった。少し離れたところに座るシモンよりもたぶん、一回り小さい。
 縮こまった翼は思ったより大きくなく、色が褪せたような白銀の髪は短い。細い腕、細い足、細い身体。詰め寄る声に怯え直したのか、再びおどおどとあたりを見回して、結局キッドの腕にすがるようにすりよった。
「なんでキッドになついてンの、コイツー!」
 意外だなあ、と呑気に受けたのは当の獣人の隣に座るアイラックだ。
「やきもちかな? そんなにキッドが気になっているとは思っていなかったな」
「んなワケあるワケないだろー!」
「可哀想に。全否定されてるぞ、キッド」
「またこのバカは、そういうふざけたことを」
 心底嫌そうにキッドはアイラックを睨んで、次いでキヤルにもその目を向ける。安心させるように翼の上からぽくぽくと獣人を叩きながら。
「キヤルも静かにしろよ。びっくりしてまたこいつ、隠れちゃうから。まだ子供なんだ」
 コッと言ったきり、キヤルは絶句してしまう。ただ獣人を指さす指だけがぷるぷるしている。
「まあ、座りなさいって!」
 その隙を逃してなるかというように、キヨウがキヤルの肩を押してベンチに戻らせた。
「びっくりするのはわかるけれど、落ち着かないと本当、外に出しちゃうわよ?」
「だって、姉ちゃんっ」
 はいはい、と言いつつキヨウは、ニアとシモンと困ったように笑みを見交わした。どうやらこの衝撃は、すでに経験済みらしい。
 それもそうだろう、とロシウはギミーとダリーの手をぎゅっと握りながら静かに息をつく。
 どういうことだ、これは。とにかく冷静にならなければ。冷静に、話を聞かなければ。
「ダヤッカが話すって言ってるんだから、静かに聞きなさいね? 聞けば怖いことなんか、何もないんだから」
 別に怖いワケじゃ、と声は控えめ。両手を膝について小さくなったキヤルがとりあえず黙ると、キヨウは 「ロシウ」 と手招いた。
「ほら、あんたたちもそっちに立ってないでこっち来なさい」
 ぽんと、キヨウはシモンの隣を指さした。進みかけようとして、少しためらう。獣人の近くに行くことになるから。
 そう考えて見下ろしたギミーとダリー、その顔を見て拍子抜けする。さぞや怖がっているだろうと思ったのに、まるで反対だった。しっかりロシウの影に隠れながら、それでも二人とも面白そうな顔をして、じっと獣人を見つめている。
「ギミー、ダリー」
 だからロシウは言葉を変える。 「いいかい。僕の側を離れてはいけないよ」
 はーい、と聞き分けのいい返事がまた、ため息を誘う。奥に歩く間、ふらふらと獣人の方に行かないかを心配するなんて。
「……どういうことなんですか?」
「どうもこうもない、というか」
 座って、ロシウは小さな声でシモンに訊く。頭の上でかわされる声を、ダリーは見上げている。
「キッドとアイラックが見つけてきたんだ。それから、……やっぱり俺が言うより、ダヤッカの話しの方がわかりやすいよ」
 言われて目を上げると、ダヤッカはキタンと声を潜めてやりとりしている。苦笑がその口の端にのぼるのを、遠目に見た。
「そういえば、あれから一度倒れたって聞きましたけど」
「ああ、うん」 シモンは情けなさそうに少し笑って首をすくめた。 「そうなんだ。くらくらしちゃって。でも大丈夫」
 そうですか、と顔色を見ると、やはり言うほど大丈夫そうには見えなかった。リーロンの見立ては当たっている。更に口を開こうとするのを、ダヤッカの気配に止められた。
「さて」 と、ダヤッカは皆を見回して、所在なげに頭をかいた。 「じゃあ、どうするかな。こう改められると……話しにくいなあ」
 少し黙って、まあ、と口火を切る。
「とりあえず、キヤルが気にしているから先に話すと、その子は」 その子? 「ピリオ、という名前の獣人だ。捕虜ってことになるのかな?」
 ダヤッカの視線を受けて、アイラックが頷いた。それに力を得たように、それからはよどみなかった。
「螺旋王はいなくなった訳だが、状況としてはあまり変わっていない。俺達は確かに勝ったんだが、だからといってすぐに全部がひっくり返った訳じゃないということだ。夜明け前に動かなくなった獣人のガンメンも、また動き始めているみたいだしな。それに乗る獣人もまだ、あちこちにたくさんいる。
けれどテッペリンが落ちたこと。これ自体はなぜか有名でな、人間たちがどんどん押し寄せてきているんだ。ガンメンを乗っ取って来る奴もいるが、そうでない奴もいる。テッペリン攻略中に来た奴ら、ただ集まってるような奴らもあわせると、考えられない数の人間が今、このあたりにいることになるな。
中には獣人と鉢合わせて小競り合いを起こすような奴もいる。今までを考えれば無理はないし、獣人にしたってそれは同じだろう。けれど---戦いは終わったんだ」
 ダヤッカは言葉を切り、同意を求めるようにシモンを見た。シモンはただ、無言で頷いた。


「さようなら、と僕らは言った」 Chapter3-4   へ続く


 

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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