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2007.10.29 (Mon)

さようなら、と僕らは言った  Chapter2-3 

                               『天元突破グレンラガン』

【More・・・】



「ダリー! ダリー! バリンボー、ダリーも!」
 いつの間に駆け戻ってきたのか、大きな声にダリーの髪が跳ね上がる。
 ぐったりと膝に手をつき息を整えているキヤルの隣で、バリンボーが「おう」と応えてギミーを腕に抱き、空いた片腕ですくい上げるようにダリーを受け取った。ダリーも嫌がる素振りを見せなかった。
「ロシウ? 大丈夫……?」
 ダリーは胸元に、いつも抱えているぬいぐるみを抱き締めている。だらりと下がった耳の先。夕陽色に染まる、その顔。
 ギミーがバリンボーから身を乗り出した。夕陽がその髪を更に赤く染めている。
「大丈夫なんでしょ? もう平気なんだよね?」
 夕陽。暮れていく、陽の光。こんなにも影を作って。その先には、
「ねえ!?」
 焦れたようなギミーの声に、ロシウは我に返る。
 うん、とロシウは笑顔を作った。声を出すのに努力が必要だった。見返す先にあるのは、ただ不安そうな瞳だけ。
「……大丈夫だよ」
 ダリーの目が、ギミーの顔が、ふと、揺れた。いけない。この子達は勘がいい。
 ロシウは心の底のあたりから気持ちを引っ張り出す。
 動く左手を伸ばした。ジョーガンがバリンボーに寄ってくれる。ギミーの、そしてダリーの頭を、ロシウは撫でた。リーロンがしてくれたように、少し強く。
「もう、大丈夫だよ。心配しなくても大丈夫」
 手の下で、ギミーが笑う。ダリーが笑う。そうしてやっと、安心したように笑う二人を、ロシウは見た。二人のために引っ張り出した優しい気持ちが、腕を引くのと同時に静まっていくのを感じながら。その後にはただ、再びの焦燥が巣喰うのを感じながら。
 ふわり、と視界の隅で黒髪が揺れた。
「キノン」 勢い良くキヤルが身を伸ばしていた。 「早く行こうぜ。兄ちゃんに怒られちゃうよ」
 そうねえ、と思い出したようにキノンも頷く。
「オレ達、別にロシウの見舞いに来た訳じゃないんだよ。呼びに来たの」
「そうなの。ジョーガンとバリンボー、呼んでくるようにって言われたんだっけ」
「なんだ?」「なんかあったのか?」
 問われて姉妹は顔を見合わせる。
「知らないよ。兄ちゃん、何も言ってなかったし」
 なあ?と同意を求められたキノンも、首をかしげた。
「ほら、二人がいた時にダヤッカ達と出掛けたじゃない? 戻って来てから、ずっと難しい顔してるの。それでとりあえず呼んで来いって、それしか言われなくて」
 なんか兄ちゃんヘンなんだよ、とキヤルは呟く。ほつれた髪を、耳に掛ける。
「今までオレ達に話さないコトなんかさ、なかったのに。戻ってから黙りこくっちゃってんの。どうしたって訊いても、話してくれないし。みんなで話すって言って……キヨウ姉ちゃんは中にいるのにさ。オレとキノンは、こいつらと……同じ扱いなんだよ。最初っから外、出されちゃってんの。
って、痛ってーよ、ジョーガン!」
 ぐしゃぐしゃ、とジョーガンが空いている手でキヤルの髪をかき混ぜる。
「情けない顔してんな、キヤル! キタンが話さないのは、なんか理由があるからだ」
「そうだ、そうだ、あいつの性格考えてみろ。いつまでも黙ってられるヤツじゃない」
 乱された頭を抱えて一瞬、キヤルは目を見開いて双子を見上げた。そして、にっと口の端をつり上げる。
「わかってるよ、そんなの。---兄ちゃんなんだぜ?」
 そうだね、とキノンも笑った。
「早く戻ろう? お兄ちゃんに怒られるよ」
「怒るとウルサイんだよなー。ウルサイだけだけど」
「そうだな、キタンはうるさいな」
「うるさいうるさい」
「うるさいうるさいって言うなっ。ウルサイよっ」
 べえっとキヤルは舌を出して、先に立って歩き出す。くるりと回った拍子に長い髪が揺れていく。
「だから早く行こうっての! 兄ちゃんホント、怒るって」
 ほいほい、とバリンボーは笑って両腕に抱いた双子を揺すり上げる。行くか、とジョーガンはロシウに呼びかける。
 キノンはトレーラーに向かうキヤルの後に続こうとして、ふと振り返った。
「ロシウも? 本当に大丈夫? 寝てなくて平気?」
「平気です。僕も皆さんの所に行こうとしたところでしたから」
 そう、と再びキノンは言って、そのままキヤルを追いかける。バリンボーの両肩に手を掛けて、ギミーとダリーが手を振っている。
 ロシウも軽く手を振り返した。
「何でしょうね? キタンさん」
「さあな」
 ジョーガンは少し、声を低めた。先を歩く彼らに届かない声で。
「行けばわかることだ。キタンが必要だと思えば話すさ、キヤルにも、キノンにも。ロシウもあんまり気にするな……いいな?」
「……はい」
 頷きながら、揺すられながら、ロシウはただジョーガンの服を握りしめた。ますます強く胸を焼く、焦燥に耐えながら。
 ふと、ロシウはジョーガンの肩越しに振り返ろうとして---できなかった。
 代わりに、そのまま前へと目を向けた。トレーラーに乗り込むキヤル達を見れば、やはり同じ色に染まっている。
 振り返ればそこにある夕陽、その下に広がる光景と、同じ色に。


「さようなら、と僕らは言った」 Chapter3-1   へ続く


テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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