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2007.11.15 (Thu)

さようなら、と僕らは言った  Chapter3-4 

                               『天元突破グレンラガン』

【More・・・】



 また、ダヤッカは皆を見回す。
「そこで働きたくてたまらないらしいガンメン乗りには、働いてもらおうと思う。小競り合いを起こす奴らを、起こす前に味方にするんだ。そうしてこのあたりにまだ生き残っている獣人を全員、捕まえる。獣人のガンメンもこちらで全部押さえてしまいたい」
「捕まえて、どうすんだ?」 「全員なんて、集めてどうすんだ?」
「どうすんだ、って訊かれてもなあ。そんなの俺にもわからんよ」
 意外と投げやりな答えだ。しかし、とダヤッカは苦笑しつつも続ける。
「一カ所にまとめておくしかないだろうな。野放しにしていても衝突が起きるだけだ。とりあえず、今は集めることが肝心なんだ」
「獣人を救うために、でしょ」
 ヨーコ、とダヤッカは少し強く呼んだが、ヨーコはそれを無視して 「ロシウ」 と言った。急に名前を呼ばれて少しどきりとしたが、その視線が自分を素通りするのを感じてロシウは少し身を引いた。ヨーコは自分ではなく、シモンに語りかけている。
「獣人がね、昼しか人間を襲ってこなかった理由がわかったの。あいつら、……脆かったのよ。
なんて」
 脆いの、と彼女は繰り返して、目を伏せた。シモンの表情はわからなかった。少し口を開くのに勇気がいった。
「どういうことです? 脆い、というのは?」
「……言葉のとおりね」
 問いに答えたのはそれまで黙っていたリーロンだ。ダヤッカに目配せした彼は、椅子をくるりと回して向き直る。
「獣人は夜になると必ず基地に戻る必要があった。そのことはアタシたちも知ってる。でも、理由については考えてこなかった。なんといっても情報が少なすぎて、考えるだけ無駄だった訳よ、今までは。けれどその理由を、その子が……教えてくれた」
 リーロンは、獣人を見る。キッドの横で、やはり獣人は翼を揺らして小さくなった。また閉じてしまいそうになる羽から、さらにひらりと白が落ちる。
「ロシウ。人間は、何でできていると思う?」
 え、と獣人に当てていた視線をロシウはリーロンに戻す。唐突な問いだ。
「人間、は」
 自分の手を見ようとして、ロシウはまだギミーとダリーの手を握っていたことに気付く。あたたかな手。体温。
「肉と、血と」 ゆうらりとアダイの暗闇が思い出された。 「骨で、出来ています」
「正解。人間は骨と肉の身体を持ち、その中を血が巡っている。獣人も基本的にはアタシたちと同じ、血と肉と骨。けれどアタシたちは少し寝なかったからって、崩れるようなことにはならない」
「くず、れる?」
 そう、とリーロンはため息をもらす。どんなふうに? 砂のように? 亡き人々のように?
「獣人の身体はとても脆くできている、ヨーコが言うようにね。昼しか襲ってこなかったのは、それしか動けなかったから。昼日中を行動すると、夜には基地に戻って眠らなければ身体の調子が悪くなる。何日も眠らないでいると、徐々にその不調は強くなって、最後には身体の肉が崩れて、そして」
「死んでしまう、ということですか?」
 リーロンは応える代わりに「そうよね」と獣人を見る。顔を隠すようにした獣人は、かすかに頷いたようだった。
「それを防ぐために獣人は必ず夜、眠る。眠って身体を休めること、そして眠っている間に特殊な薬を身体に入れる必要があるんですって。その特殊な薬は、ええと?」
 言いよどんだリーロンを助けるように、ややして 「コーソ」 という弱々しい声がした。少し高いトーン。まるで小さな女の子のような。急に集まった視線の中で、再び獣人は首をすくめるようにする。ありがと、とリーロンは獣人に笑いかけた。
「コーソっていうんですって。覚えてる? ダイガンザンを乗っ取って調べた時、これくらいの」
両手の人差し指と親指とで、リーロンは小さめの四角を作る。
「ビニールのパックがたくさんあったこと」
 あ、とキノンが手を挙げた。
「あたし、覚えてます。確か少しピンク色の液体が入ってましたよね? 医療室の近くの倉庫にすごくたくさん積んであって、何だろうって話してました……あれが、もしかしてコーソ?」
「どうやらそうだったらしいのよ。わかってみれば当然よね、獣人の艦なんだから。毎日必要なものだったら、そりゃあ膨大にあるはずよ。なきゃあいけない」
「調べてみなかったのか?」 「どうしたんだそれ?」
 ひょい、とリーロンは肩をすくめる。
「もちろん調べたわよ。でも結局、どんなものかはわからなかった。解析機械にかけて何かの薬品、ということだけがわかっても、どんな薬品かがわからなければ使えないもの。とことん調べる時間はなかったし、場所はいっぱい空いてて倉庫を閉めていても平気だったから……そのまんま積んで、すっかり忘れていたわ」
「で、ダイグレンと一緒に燃えちゃった、ってワケ?」
 頷くリーロンに、「だとすると」と考え深そうに唇に指を当てたのはキノンだ。
「だったらあたしたちもコーソは持っていないんですよね? それで獣人を救う、ってどういうことなんです?」
「それはね」
「行こうって言うのよ、あのテッペリンの中に」
 答えようとしたリーロンの台詞をかっさらったのはヨーコ。リーロンは少し、眉根を寄せた。
「テッペリンでの戦いが始まって今日で7日……もう、8日目かしら? そろそろ外で戦っていた獣人達の身体は限界に来ている。そうなんでしょ?」
 突き刺すように問われ、獣人はびくりとする。
「だ、か、ら」 とヨーコは続けた。 「コーソを取って来て、身体に入れてやって、獣人が死なないで済むようにしてやろう、ってわけ」
 吐き捨てるような口調に、その場はしんと静まった。
「どうかしてると思わない? さっきまで、殺し合ってた相手よ? さっきまでさんざん戦って来たこと、もう忘れたの? 螺旋王を倒したって、獣人と人間が仲良くやっていけるってわけじゃないでしょう? 今まで、どれだけの人間があいつらに殺されてきたと思ってるのよ! あいつらは、」
 すっとヨーコが息を吸い込み、勢いのままに呼ぼうとして---息を止める。言おうとした名前がそのままヨーコ自身を傷つけたように、彼女の組んだ手は二の腕にかかる。まるで自分を抱き締めるように。
「……そんな危険、犯すなんて。ホント、みんな、どうかしてるわ……」


「さようなら、と僕らは言った」 Chapter3-5   へ続く


 

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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