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2007.11.25 (Sun)

カナリアは歌う  Scene1 

                                       『天元突破グレンラガン』

【More・・・】

 
 それは銃声だった。
 その場にいた誰もがはっとして、空を見上げた。
 籠もるように、響くように音は駆け抜け、そして消えていく。
「なんだあ、今のは」
 いち早く空を仰ぎ、声をあげたのはキタンだった。
 集まってくる人々に引っ張り回されて倒れたシモンはキヨウの膝を枕にぐったりしているし、その側ではニアが心配そうにそのシモンの手を握っている。
「あっちから聞こえてきたわ」
 耳を澄ませていたヨーコが真っ直ぐな目を、陥落したテッペリン、そのはるか右方へと向ける。
 その先には薄い青の空と、瓦礫の山。
「行ってみましょう?」
 かたわらのガンメンに寄りかからせていたライフルを、ヨーコは引き寄せた。
 この馬鹿騒ぎの中にも手の届く範囲に置いていたそれを肩にかつぎ直したその時、再び乾いた音が二度、三度と響き渡る。
「いや、ヨーコはここに残れ」
 一番に歩き始めるその背中に、声をかけたのはアイラックだった。
「何よ」
 不満げな声は、ヨーコ自身が思うよりも棘を含む……先に動き始めていたキタンとダヤッカを振り返らせるほどに。
 けれどそれをアイラックは肩をすくめてやり過ごした。
「俺とキッドも行く。4人もいれば充分だよ。それよりここで」 と、アイラックは顎で示し、心なしか声を潜めた。 「あいつらを守ってくれていた方が安心できる」
 言われて、改めてヨーコはぼろぼろになったグレンラガンを見直した。
 機体の中に潜り込み、今の銃声が聞こえなかっただろうリーロン、その助けをしているマッケンはともかく、その足下ではジョーガンとバリンボーの肩で幼い子供が不安そうな顔をしている。
 さすがに場数の違いか、キタンの妹たちは不安な様子を見せていなかったけれども。
「……OK、わかったわ」
 ヨーコは再び、ライフルを地面に降ろした。
 ゾーシィはリーロンに言われ、休んでいるロシウの様子を見に行ったばかりだ。レイテの指示でテツカンとアーテンボロー、ガバルは他のガンメンに掛かりきりになっている。今この場に残るメンバー、確かめに行くメンバー、それを考えればおのずとそうせざるを得なかった。
「すぐ帰ってくるかんな、ヨーコちゃん」
 つとめて軽薄なように片目をつぶって、キッドはヨーコの側をすり抜ける。
 様子を見て既に歩き出していたキタンとダヤッカにアイラックが並ぶと、ダヤッカが軽く頭を下げた。
「すまん。気が回らなかった」
 いや、とアイラックは首を振る。
「あれは短銃の音だ。ライフル撃ちがいても役にはたたないよ。むしろいない方がいい」
 引き金をひけないライフルは、威嚇の道具にしかならないだろう。進んで危険を招くことはない。
 それに、とアイラックは続ける。
「俺が考えているようなことが起きていれば、彼女を連れて行くのは得策じゃない」
 虚を突かれたように、ダヤッカは立ち止まった。その背を間髪入れず、キッドが叩く。
「止まってる暇はねえぜ。早いとこ行かねえと」
 キッドの言葉を断ち切るように、再度、銃声が轟く。
 おい、とキタンが振り返った。
「急げよ、ダヤッカ!」
 ほらな?とキッドはダヤッカを追い越し、キタンに並んだ。
 キタンに追いつき、同じ歩調で歩くのは今、難しい。
 駆け出しそうなスピード。
 キッドはそれに構わずにキタンに話しかけたが、答えがもらえたかどうか。
 キタンの後ろ頭は揺れもしない。キッドに目もくれていない。
 それでもキッドが何か言って、皮肉にひとり笑う声がした。キタンのペースを落とそうという試みは、今のところ報われていない。
 慌ててその歩みに合わせて急ぎながら、ダヤッカは唸るような声を出す。
「まさか、そんなことが」
 さも意外そうに、アイラックはダヤッカを一瞬見た。
 この期に及んでも性格というのは出るのかもしれない、そう思いながら。
「充分にありうるさ。獣人に怯えて生きてきたのは、なにも俺達だけじゃないんだぜ?」


カナリアは歌う Scene2 へ続く

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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