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2007.11.25 (Sun)

カナリアは歌う Scene2 

                               『天元突破グレンラガン』

【More・・・】


「てめえら! 何やってやがる!」
 キタンはジープが止まるのも待ちきれない様子で、ひとり飛び降りた。
 車の上で聞いた、更なる銃声を追ってたどり着いたのはガンメンが寄り集まっている場所だった。おそらくは前線の跡だろう。緩く傾斜する低い崖の下の窪地。砲撃でえぐれて出来でもしたのか、真新しい黒い土が剥き出しになっている。
 その地に突っ伏しているガンメンの、そのハッチは残らず開いていた。その乗り手が獣人達だったことはすぐに知れた。
 ただの鉄屑と化した機体の前。
 そこに不自然に整然と、横たわるものの数を数えることをアイラックは反射的に拒否した。数えていったい何になる?
「何だよ、おまえらは」
 数人の男たちと、幾人かの女。
 顔をしかめて振り返った男の手に握られているのは、短銃。
 銃口からは薄く煙が立ちのぼり、その足下では一人の獣人が足を震わせている。男が銃を扱い薬莢が落ちていくその下で、がくり、とその震えが停止した。
「……何やってやがる、ここで」
 まるで目がくらんだように、一度キタンがよろけた気がした。けれど次の瞬間、飛びかかるような勢いで男に近付いていく。
 ジープのエンジンを切るダヤッカをそのままに、アイラックはそのキタンを追ってジープを飛び降りる。その寸前、車が足を畳む一瞬だけ、振り返ってキッドに目配せした。キッドも、軽く頷き返してくる。
 キタンが向かおうとしている男の背後、射るような目をした男がするりと銃を持つ手を上げるのが、少し上方からは良く見えていた。
「おい」
 男はまだ若い。不満そうな色を乗せた頬には、無惨な傷が頬を横に走っている。
「誰だって訊いてるのはこっちだ」
 うるせえ、とキタンはずかずかと男の前に出る。そのまま男の胸ぐらをつかみあげ     ようとして動きを止めた。
 思わずアイラックは舌打ちする。
 追いついてきたダヤッカがそれを聞いて身じろぎするのがわかったが、どうしようもない。
見つめる先で、キタンが後ずさった。ゆるゆるとその両手が上がる。
 二人の距離が開いて、男が構えるもう一丁の短銃が見えた。その銃口は、真っ直ぐキタンの顔を向いている。
「訊いてんのはこっちなんだよ。誰だ? おまえら」
「俺達はッ」
「まーまーまーまー」
 ひょこひょこと、一歩進み出たキッドがキタンの肩に寄りかかる。
「俺はキッド。あいつらはアイラックとダヤッカだ。で、こいつはキタンな。『黒の兄弟』のキタンって言やあ、わかるかな?」
「知るか」
 男の構える銃にぶれはない。キッドは、大げさにため息をつき、おもむろにキタンを覗き込む。
「だってよ。おまえも意外にモグリじゃねえか」
「やかましい!」
 おい、と男は銃を初めて揺らす。「答えろ。おまえらはなんなんだよ」
「聞いて驚け」ぶん、とキッドは手を伸ばす。「俺達こそが泣く子も黙るグレン団様だっ」
 はあ、と男が間の抜けた声を挙げる。そのまま銃口がだらりと下を向く。
「おまえらが? あのシモンの?」
「そう! 俺のキッドナックルの勇姿! おまえらも見てくれたか? この無名のキタンさんも、トッキントッキンしたキングキタンで戦ったんだぜ!」
「キングキタン? ああ」
 そこで初めて、男の顔に理解の色が広がった。完全に銃口が地面を向く。そうか、と男は笑いさえする。
「キングキタンの名前は聞いている。あんたが乗っていたのか」
 ぐい、と男は言いながら短銃を二丁とも背中に戻した。そうする男の背後でも、上がっていた銃口が下がっていく。
 これ以上はないほど苦い顔をしたキタンが頷くと、男はむしろ嬉しそうに手を差し出した。
「すげえな、グレン団かよ」


カナリアは歌う Scene3 へ続く

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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