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2007.11.25 (Sun)

カナリアは歌う Scene3 

                               『天元突破グレンラガン』

【More・・・】


「おまえらの戦いを見て、俺達も穴蔵から出てきたんだ。テッペリンの攻略に間に合って嬉しいぜ」
「ありがとうなあ」
 ぶんぶんとその手を握って、キッドはキタンを押しのける。不満そうにキッドをにらむキタンの前に、さりげなくダヤッカが立った。
「シモンは今怪我してっからさ。かわりに礼を言わせてくれ。皆が駆けつけてくれたお陰で、勝利を勝ち取ることが出来たんだぜ」
「そう言ってくれるたあ、ありがたいな」
 なあ、と男は背後を振り返った。ばらばらと笑い声がその中から上がる。
 その手その手を見て、アイラックは内心安堵した。誰もが握る銃、それが自分たちに向けられる可能性が下がったことに。
「ただ、俺達は来るのがホントに最後だったからな、遅ればせながらの協力だ」
 笑顔のまま、男は主のいないガンメン達にむかって手を振った。
「このあたりの獣人ども、みんな始末してやったよ」
 得意そうに男が言ってのけたその瞬間、ダヤッカの二の腕に筋が浮いた。後ろ手に捕まれたキタンが、ぐっと唇を引き結ぶのが見える。
「……へええ」
 キッドの声が一段低くなったことに、アイラック以外の誰が気付いただろう。
「そうかいそうかい。それはまた、」
「そうすると、もうこのあたりに獣人はいない訳だな?」
 ここまでだ。
 アイラックはキッドの肩を掴んで引き寄せる。
 キッドが強く睨んできたが、それも一瞬にすぎない。キッド自身も喧嘩っ早い自分の性をわかっている。軽くアイラックにだけ顔をしかめて見せ、そのまま引き下がった。
「あ? ああ、そうだ。たぶん」と、男は後方の高台を手で振り示す。
「あっちの方でさっき情けねえ獣の声がしたからな」
 これを、と男はさっきまで動いていた足の先を軽く蹴り飛ばした。ぶらぶらと揺れる。
「始末したら、あっちの様子を見に行こうと話していた所だ。どうする? あんた達も行くか?」
「俺達はシモンの所に戻る。銃声が聞こえたんで、様子を見に来ただけだから」
「じゃあ、俺達だけで」
「あんた達もここにいてくれないか。それともあっちの方、ちょっと開けた所。そこに皆集まってるようだったよ。あんた達もそっちに行って休んでいたらどうだ?」
 男はアイラックの指さした方、向かおうとしていた場所とは真逆な方向を戸惑ったように眺める。
 広場のように開けているのは本当だが、人が集まっているかどうかは正確ではない。ただ寄り集まって所在なげにいる、そんな場所。
「気遣ってくれるのは嬉しいが、俺達は言ったとおり、まだそんなに働いていないのさ。もっと、このあたりの掃除をした方がいいんじゃねえかと思うんだ」
 どうだろうな、と言いながら、アイラックは肩を掴んでくるキッドの手を払いのけた。気持ちは分かるが、手は出してくれるな。
「シモンは戦いの終わりを宣言したからな。もう獣人に力はない。逃げるヤツを追うのは俺達グレン団の流儀じゃないし」
 は、と男は妙な笑い声をたてた。顔の傷に指をはわせる。
「ご立派なもんだ。あんた達はあいつらを許してやるおつもりかい? 冗談じゃねえ。こんな機会を捨てる気はねえよ。第一、その方がシモンも喜ぶんじゃねえのか?」
「よ」
「……キタンっ」
 ぐうう、とキタンはダヤッカに小さく制されて黙り込む。
「なあ、あんた」
 アイラックは腕を組む。指がびりびりいう。さっきから頭の中で、どうやってこいつを殴ったらすっきりするかを考えている。
「グレン団の流儀はシモンの流儀なんだよ。シモンが必要だったらそう指示するさ。でも今はその必要がないって、言っている訳だよ。獣人達の始末もいずれシモンがいいように考える。なあ、そうだろ? ダヤッカ」
「ああ……、その通りだ」
 軽く振り返った先のダヤッカは、アイラックでさえ内心驚くような目をしていた。噛みしめた口から絞り出すような声。
 ちっ、と男はあからさまに舌打ちする。
「かなわねえなあ、英雄様にはよ」
 アイラックは自分の腕を握りこむ。踵を返す男の後ろ背を、蹴飛ばさないよう足を踏みしめた。
「わかったよ。シモンがそう言うんじゃ仕方ねえや」
 男が「移動だ」と一言声を張り上げると、その仲間達は三々五々と自分たちが乗ってきただろうガンメンに乗り込んだ。
 その中、先程銃を構えた目つきの鋭い一人がガンメンを操縦して近付いてきた。差し出されるガンメンの手に、男は足をかける。
「アイラック」
 そのまま、男はガンメンの上、銃の台座のような所に移った。アインザーと良く似たパーツ。
「シモンに伝えてくれよな。俺達はいつでもおまえの号令で獣人を殺してやる。俺達が殺されたようにな」
 男はガンメン達に手を振った。土埃をあげて、アイラックが示した方向へと瓦礫を越えていく。
 それを見送って、アイラックは髪をかきあげた。
「……気安く俺の名前を呼ぶんじゃねえよ。糞が」


カナリアは歌う Scene4 へ続く

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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